
離乳食の煮干しだし(いりこだし)は、昆布や野菜、かつおのだしに慣れたあと、中期(7〜8か月頃)を目安に少量から試す進め方が一般的です。市販の煮干し粉・だしパック・粉末だしを使う場合は、原材料名で「魚の種類」と「食塩が加えられているか」を確認し、栄養成分表示の食塩相当量を小さじ1杯あたりに読み替えて選びます。手作りする場合は、頭と内臓を取ってから水出しにすると、苦みの少ないだしになります。
目次
煮干しだしの特徴と始める時期の目安
煮干しは、かたくちいわしなどの小魚を煮てから干したものです。西日本では「いりこ」と呼ばれ、味噌汁やうどんのつゆに広く使われています。かつおだしがすっきりした香りなのに対し、煮干しだしは魚の風味とコクがはっきりしていて、味噌や野菜と合わせると味のまとまりがよくなるのが特徴です。
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、離乳食の調味料は初期には不要とし、だしのうま味を活用して薄味にすることがすすめられています。ただし、だしの種類ごとの開始月齢は公的資料では決められていません。煮干しは魚が原料で風味も強めなので、一般的には次のような順番で紹介されることが多くなっています。
- 昆布だし・野菜だし(初期から)
- かつおだし(初期の後半〜中期)
- 煮干しだし(中期頃から、少量で)
この順番は決まりではなく、かつおだしで問題がなければ煮干しだしも同じ頃に試して差し支えないという考え方もあります。初めて使う日は、新しい食材を試すときと同じように、体調のよい日の午前中などに、慣れたおかゆや野菜ペーストへひとさじ混ぜるところから始めてください。だし全体の開始時期の考え方は「離乳食のだしはいつから?」で整理しています。
これまでに魚で発疹や嘔吐などの症状が出たことがある場合や、食物アレルギーの診断を受けている場合は、煮干しだしを始める前にかかりつけの医師に相談してください。だし汁を試したあとに口の周りの赤み、じんましん、せきなど気になる様子があれば、与えるのをやめて医療機関に相談します。
市販の煮干しだしの種類と選び方
煮干しだしを市販品でそろえる場合、形状は大きく3つに分かれます。離乳食ではそれぞれ使い方と注意点が違うため、まず形状を決めてから商品を選ぶと迷いにくくなります。
| 形状 | 特徴 | 離乳食での注意点 |
|---|---|---|
| 煮干し粉(いりこ粉) | 煮干しを丸ごと粉にしたもの。料理に直接混ぜられる | だし汁ではなく魚そのものを食べる形。頭や内臓も含まれるため、だし汁に慣れてから少量で |
| だしパック | 煮干しや昆布などを袋に詰めたもの。煮出して使う | 食塩や砂糖が入った「調味だしパック」もある。原材料名で確認 |
| 顆粒・粉末だし | だしのエキスを乾燥させたもの。湯に溶かすだけ | 食塩相当量の幅が広い。小さじ1杯あたりに換算して比べる |
離乳食期の使いやすさで考えると
だし汁として薄めやすいのは、だしパックと顆粒・粉末だしです。煮干し粉は便利ですが、魚の身・頭・内臓をそのまま食べることになるため、離乳食では「だし」というより「魚の粉末」として扱い、だし汁で問題がないことを確かめてから使う順番が安心です。市販だし全体の比較は「離乳食のだし市販のおすすめ」でも解説しています。
パッケージ表示で確認する4つの項目
だしメーカーとして、煮干し系の市販品を選ぶときにパッケージ裏面で見てほしい項目をまとめます。商品名の印象ではなく、原材料名と栄養成分表示で判断するのが基本です。
1. 原材料名の「魚の種類」
煮干しの原料はかたくちいわしが多いですが、商品によっては「うるめいわし」「まいわし」「あじ」「さば」などが使われていたり、複数の魚が混ざっていたりします。「いわし煮干し」「かたくちいわし」のように魚種が書かれているものを選ぶと、何を試したのかが明確になります。「魚介エキス」とだけ書かれている場合は、具体的な魚種が分からないため、初めて試す段階では避けるか、メーカーに確認するのが確実です。
2. アレルギー表示の範囲
さばは表示が推奨される品目ですが、いわしやあじは表示対象になっていません。そのため、アレルギー表示欄だけを見ても煮干しの魚種は分かりません。必ず原材料名欄そのものを読んで確認してください。
3. 食塩が加えられているか
煮干しそのものにも海水由来の塩分が含まれます。そのうえで、商品によっては原材料に「食塩」が加えられているものがあり、離乳食の目安としては食塩を加えていないものから選ぶと調整がしやすくなります。原材料名は使用量の多い順に並んでいるので、「食塩」が前のほうにある商品は塩味が強めだと考えられます。
4. 栄養成分表示の「食塩相当量」
栄養成分表示は「100gあたり」「1袋あたり」「小さじ1杯あたり」など商品ごとに基準が違います。比べるときは、自分が実際に使う量(小さじ1杯や1パック)あたりに計算し直してください。たとえば100gあたりの表示で、1回に使う量が2.5gなら、表示の値を40で割った数が1回分の目安になります。
参考として、日本人の食事摂取基準(厚生労働省)では、食塩相当量の目標量は1〜2歳で1日3.0g未満、3〜5歳で1日3.5g未満とされています。離乳食期はさらに薄味が基本なので、だしから入る塩分は小さくしておき、味付けはあとから少量で足す考え方にすると管理しやすくなります。表示の読み方全般は「離乳食の市販だしの表示の見方」でも詳しく扱っています。
手作りする場合の下処理と取り方
煮干しだしは、手作りでも難しくありません。大人用と違うのは、苦みやえぐみを抑えるために下処理を丁寧にする点です。分量は一般的な目安で、お好みで調整してください。
下処理:頭と内臓を取る
- 煮干しの頭を指でつまんで取ります。
- 腹側を開き、黒っぽい内臓(はらわた)を取り除きます。背側の身は使います。
- 酸化した油のにおいが気になるときは、フライパンで軽く乾煎りするか、電子レンジで短時間加熱すると香りがよくなります。
頭と内臓は苦みの元になりやすい部分です。離乳食用に取るだしでは、面倒でもこの下処理を省かないほうが、仕上がりの味が穏やかになります。
水出し(おすすめ)
- 下処理した煮干し約10gを、水500mlに入れます。
- ふたをして冷蔵庫で一晩(6〜8時間程度)おきます。
- 煮干しを取り出し、こし器かペーパーでこします。
水出しは煮出すより苦みが出にくく、火を使わないので離乳食向きです。取り出した煮干しはそのまま食べずに処分するか、大人の料理に使います。
煮出し
- 下処理した煮干しと水を鍋に入れ、30分ほど置きます。
- 弱めの中火にかけ、沸騰直前に火を弱め、アクを取りながら5〜10分煮ます。
- 火を止めてこします。グラグラ煮立たせると生臭さや苦みが出やすいので、静かに煮るのがコツです。
作っただしは、粗熱を取ってから製氷皿や小分け容器で冷凍し、使う分だけ解凍します。冷凍保存の手順や期間の目安は「離乳食のだし汁の作り方と冷凍保存」をご覧ください。
昆布・かつおとの組み合わせと時期別の使い道
煮干しだしは単体でも使えますが、昆布と合わせると味に厚みが出て、煮干しの魚っぽさがやわらぎます。昆布はヨウ素を多く含むため、昆布だしだけを毎日濃く使い続けるのは避け、煮干しやかつお、野菜だしと日替わりで組み合わせるのが一般的な考え方です。煮干しだしを加えることで、だしのレパートリーが増え、結果として特定のだしに偏りにくくなります。
| 時期の目安 | 向いている使い道 | 濃さの考え方 |
|---|---|---|
| 中期(7〜8か月頃) | 野菜ペースト・豆腐のとろみ煮・おかゆ | 昆布だしや湯で薄め、ひとさじから |
| 後期(9〜11か月頃) | 野菜の煮物、味噌を少量使った汁物、うどん | 煮干し+昆布の合わせだし。味噌はごく少量 |
| 完了期(12〜18か月頃) | 大人の味噌汁・煮物からの取り分け | 味付け前に取り分け、必要なら湯で薄める |
煮干しだしが向く料理
煮干しだしは味噌との相性がよく、後期以降の味噌汁や、根菜の煮物、うどんのつゆに向いています。逆に、かぼちゃやさつまいもなど甘みのある野菜のペーストには、香りの軽い昆布だしやかつおだしのほうが合わせやすいことが多いです。だしの種類ごとに向き不向きがあるので、料理に合わせて使い分けると献立に変化がつきます。かつおだしの取り方や混合削り節の見方は「離乳食のかつおだし」、昆布だしの注意点は「離乳食の昆布だし」で解説しています。
よくある迷いと対処
苦い・生臭いと感じるとき
頭と内臓が残っている、煮立たせすぎた、煮干しが古くて油が酸化している、のいずれかが原因になっていることが多いです。下処理を見直し、水出しに切り替えるか、乾煎りしてから使うと落ち着きます。開封後の煮干しは冷蔵か冷凍で保存し、早めに使い切ります。
煮干しそのものを食べさせてよいか
離乳食期は、煮干しは「だし汁」として使うのが基本です。粉にした煮干し粉や、柔らかく煮た煮干しの身を食べることは、硬さや塩分、骨の点で完了期以降に少量から考える内容になります。かみつぶす力や飲み込みの様子を見ながら、かかりつけの小児科や自治体の栄養相談で確認すると安心です。
だしパックを煮出す時間
市販のだしパックは、パッケージに書かれた時間より長く煮出しても、うま味が増えるわけではなく、苦みが出ることがあります。離乳食用には、表示どおりの時間で取り、濃いと感じたら湯で薄めるほうが扱いやすくなります。だしパックの選び方は「離乳食のだしパックの選び方と使い方」で詳しく紹介しています。
離乳食が完了したら:かつおと昆布のうまみだし
はぐくみユーグレナの「かつおと昆布のうまみだし」は、かつおと昆布のうま味に、ユーグレナをはじめ36種の栄養素を配合した粉末だしです。煮干しだしに慣れた頃の次のステップとして、味噌汁や煮物、うどん、おにぎり、卵焼きなどに小さじ1杯(約2.5g)加えるだけで使えます。1杯あたり食塩相当量0.145g、カルシウム100mg、鉄1.7mgと表示しています。
対象は離乳食を完了したお子さま(1歳半ごろ〜が目安)です。離乳食期には使わず、完了後に様子を見ながら量や濃さを調節してください。小麦・大豆・乳成分を含みます。食物繊維を使用しているため、便がゆるくなる場合があります。最新の価格は公式サイトでご確認ください。
商品の詳細を見るよくある質問
Q. 離乳食の煮干しだしはいつから使えますか?
A. 公的資料ではだしの種類ごとの開始月齢は決められていません。一般的には、昆布や野菜、かつおのだしに慣れたあと、中期(7〜8か月頃)を目安に、体調のよい日にひとさじから試す進め方が多く紹介されています。
Q. 市販の煮干し粉を離乳食に使ってもいいですか?
A. 煮干し粉は煮干しを丸ごと粉にしたもので、だし汁ではなく魚そのものを食べる形になります。まずはだし汁で問題がないことを確かめ、そのうえで完了期以降に少量から考えると安心です。原材料名で魚種と食塩の有無も確認してください。
Q. 煮干しだしが苦くなるのはなぜですか?
A. 頭と内臓が残っている、煮立たせすぎている、煮干しの油が酸化している、のいずれかが主な原因です。頭と内臓を取り、冷蔵庫で水出しにするか、乾煎りしてから静かに煮出すと苦みが出にくくなります。
Q. 市販の煮干しだしの食塩相当量はどう比べればいいですか?
A. 栄養成分表示の基準(100gあたり・1袋あたりなど)が商品ごとに違うため、実際に使う量(小さじ1杯や1パック)あたりに計算し直して比べます。原材料名に「食塩」があるかどうかもあわせて確認してください。
本記事は一般的な情報です。お子さまの体調・発達・アレルギーに不安がある場合は、かかりつけの小児科や自治体の栄養相談にご相談ください。