
離乳食に市販のだしを使うとき、ベビー用と大人用の違いは「赤ちゃん用」という売り文句ではなく、パッケージ裏面の表示に表れます。見る場所は、名称・原材料名の並び順・栄養成分表示の基準量と食塩相当量・対象月齢の4つです。この記事では、和光堂(アサヒグループ食品)など大手ベビーフードメーカーの商品にも大人向けのだしにも共通する「表示の読み方」を、だしメーカーの立場から解説します。各商品の具体的な数値は、各社公式サイトの最新表示でご確認ください。
目次
市販だしの表示は、この順番で読む
市販の食品には「名称」「原材料名」「内容量」「賞味期限」「保存方法」「栄養成分表示」などが表示されています。だしの場合、ここに加えてメーカー独自の「対象月齢」や「使い方」が書かれていることがあります。離乳食に使うかどうかは、次の順番で見ると迷いにくくなります。
- 名称:だしなのか、スープなのか、調味料なのかを確かめる
- 原材料名:何が多く使われているか、食塩やしょうゆがどこに書かれているか
- 栄養成分表示:「何gあたり」の表示かを見てから、食塩相当量を読む
- 対象月齢・使い方:メーカーが想定している時期と量を確かめる
- アレルギー表示:小麦・大豆・乳成分などの有無
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、離乳の初期(生後5〜6か月頃)は調味料を必要とせず、昆布やかつおなどのだしのうま味を活用して薄味にすることがすすめられています。表示を読むのは、この「薄味」を自分の目で確かめるためです。
名称欄で「だし」と「スープ」を見分ける
表側に大きく書かれた商品名と、裏面の「名称」欄は別物です。名称欄には、その食品が何であるかを示す一般的な名前が入ります。だしの仲間でよく見かける名称をまとめます。
| 名称欄の例 | どんな食品か | 離乳食での位置づけ |
|---|---|---|
| 風味調味料/だしの素 | かつお節や昆布などのエキスに、食塩や糖類などを加えた粉末・顆粒 | うま味を足すもの。食塩を含むことが多い |
| 削りぶし/だしパック(乾物) | かつお節・昆布・煮干しなどの素材そのもの、または袋詰め | 煮出して使う。調味料が入っていないものもある |
| 乾燥スープ/即席スープ | 具や調味料まで含めて味が完成している | そのまま飲む前提。だしとは別物 |
| ベビーフード | 乳幼児向けに設計された加工食品 | 対象月齢の表示を必ず確認 |
「だし」と「スープ」の違いは、味が完成しているかどうか
だしは「うま味を出す調味の土台」で、これだけで料理の味は完成しません。一方、スープは具材や調味料まで含めて、そのまま食べられる状態に仕上がっている食品です。同じ粉末でも、スープとして販売されているものは1食分の食塩相当量がだしより多くなりがちです。だしを探しているつもりでスープを手に取っていないか、名称欄で確かめてください。
名称が「だし」でなくても、だしとして使う商品がある
当社の「かつおと昆布のうまみだし」は、名称欄が「ユーグレナグラシリス含有加工食品(粉末)」です。かつお節や昆布のうま味を使っただしですが、ユーグレナや乳酸菌などを配合した加工食品のため、名称はこのように表示しています。名称だけで用途が決まらない商品もあるので、原材料名とあわせて読むのが確実です。
原材料名の並び順の読み方
ルール1:使った量の多い順に並ぶ
原材料名は、使用した重量の多い順に書くことが決められています。先頭に「かつお節」「昆布」など素材の名前がくる商品と、「デキストリン」「食塩」「糖類」などが先にくる商品では、中身の性格が違います。ベビー用でも大人用でも、このルールは同じです。
ルール2:かっこの中は、その原材料の内訳
「鰹エキスパウダー(鰹節エキス、デキストリン、でんぷん、鰹節、食塩)」のように、かっこの中にはその原材料をつくるのに使われたものが書かれています。当社のうまみだしを例にすると、食塩は単独の「食塩」としても、エキスパウダーのかっこ内にも、粉末しょうゆの中にも含まれています。「食塩が後ろのほうだから少ない」と1か所だけで判断せず、栄養成分表示の食塩相当量とセットで読んでください。
ルール3:「/」の後ろは添加物
原材料名の途中にある「/(スラッシュ)」は、その前が食品の原材料、後ろが食品添加物という区切りです。「貝カルシウム」「ビタミン類」のような栄養強化のための成分や、調味料(アミノ酸等)などがここに書かれます。「/」の後ろに何が書かれているか、書かれていないかを見ると、その商品の「無添加」が何を指すのか判断しやすくなります。
ルール4:アレルギー表示は原材料名の近くにある
「(小麦・大豆を含む)」のように原材料ごとに書かれている場合と、末尾に「(一部に小麦・大豆・乳成分を含む)」とまとめて書かれている場合があります。だしにはしょうゆ由来の小麦・大豆や乳成分が含まれることがあり、当社のうまみだしも小麦・大豆・乳成分を含みます。初めて口にする原材料があるときは、少量から様子を見てください。
食塩相当量の読み方(基準量に注意)
手順1:「何gあたり」の表示かを最初に見る
栄養成分表示の一番上には「100gあたり」「1袋(○g)あたり」「1杯(○g)あたり」といった基準量が書かれています。ベビー用は1回分や1袋あたり、大人用は100gあたりで表示されていることが多く、数字の大きさだけを見比べても意味がありません。基準量を確認し、自分が1回に使う量に換算して読みます。
1回に使う食塩相当量(g)= 表示の食塩相当量(g)÷ 基準量(g)× 1回に使う量(g)
当社のうまみだしは「1杯(2.5g)あたり食塩相当量0.145g」と表示しています。100gあたりで表示されている商品と比べるときは、相手の数字に「1回に使う量÷100」を掛けると同じ土俵になります。
手順2:1日の目標量と並べて読む
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」では、食塩相当量の目標量は1〜2歳で1日3.0g未満、3〜5歳で1日3.5g未満とされています。だし単体ではなく、パン・うどん・チーズなど食塩を含む食品を合わせた1日の合計で考えるための目安です。離乳食期の細かな数値は、かかりつけの小児科や自治体の栄養相談で確認してください。
手順3:だしパック・液体は「何の値か」を読む
だしパックは、袋の中身(乾物)の値か、煮出しただし汁の値かで数字がまったく変わります。液体の希釈タイプは、原液の値か、薄めた後の値かを確認します。どちらの値か書かれていないときは、単純に他の商品と比べられないと考えてください。
「ナトリウム」の表示しかない古いパッケージや海外製品は、食塩相当量とは数字の意味が違います。最新のパッケージか各社公式サイトの表示で確認してください。
対象月齢表示の読み方
対象月齢はメーカー独自の目安
ベビーフードに書かれている「○か月頃から」という対象月齢は、各メーカーが自社の商品設計にもとづいて表示している目安です。和光堂をはじめとする大手ベビーフードメーカーのだし商品にも、対象月齢が表示されていることが多くあります。具体的な月齢や量は商品や改定時期で変わるため、この記事では数値を挙げず、各社公式サイトの最新表示を確認することをおすすめします。
公的な区分と照らし合わせる
対象月齢の表示は、厚生労働省のガイドにある区分と照らすと位置づけがつかめます。
| 区分(目安) | 月齢 | だしの表示を読むときの視点 |
|---|---|---|
| 初期 | 5〜6か月頃 | 調味料は不要な時期。原材料名に食塩・しょうゆが入っていないか |
| 中期 | 7〜8か月頃 | 1回量あたりの食塩相当量を換算し、ごく少量から |
| 後期 | 9〜11か月頃 | だしと他の調味料を合わせた薄味の範囲か |
| 完了期 | 12〜18か月頃 | 取り分けが増える時期。1日の目標量の中でだしの分を考える |
進み方には個人差があるため、表示の月齢は目安です。月齢が合っていても、原材料名と食塩相当量は別途確認してください。
対象月齢の表示がない商品の読み方
大人用のだしには対象月齢の表示がありません。これは「乳児向けに設計されていない」ということで、素材中心で薄く使える商品もあれば、食塩や糖類が多い商品もあります。その分、原材料名と食塩相当量を自分で読んで判断することになります。当社の「かつおと昆布のうまみだし」も対象は「離乳食を完了したお子さま」で、離乳食期の月齢表示はしていません。
ベビー用と大人用の表示の違いまとめ
| 表示項目 | ベビー用だし | 大人用だし |
|---|---|---|
| 名称 | 「ベビーフード」や「乾燥スープ」など。だしかスープかを名称で確認 | 「風味調味料」「だしの素」「削りぶし」など |
| 原材料名の並び | ルールは同じ。食塩・しょうゆの位置とかっこ内を確認 | ルールは同じ。先頭が素材かエキス類かを確認 |
| 栄養成分の基準量 | 1袋・1回分あたりが多い | 100gあたりが多い |
| 対象月齢 | 表示あり(メーカー独自の目安) | 表示なし |
| 使い方の表示 | 月齢別の量や溶かし方が書かれていることが多い | 大人の料理を前提にした量 |
ベビー用と大人用の決定的な違いは「対象月齢の表示があるか」と「基準量の取り方」で、原材料名やアレルギー表示の読み方そのものは変わりません。「ベビー用だから安心」「大人用だから不可」ではなく、同じ4か所を同じ手順で読むのが、メーカーとしておすすめする確認方法です。
表示を読んで迷いやすいケース
「化学調味料無添加」などの表示
「無添加」は、何を使っていないかを示す表示で、商品ごとに指す内容が違います。調味料(アミノ酸等)を使っていないという意味なら、原材料名の「/」の後ろにそれがないことで確認できます。食塩に関する表示があっても、エキスやしょうゆに由来する食塩が含まれていることはあるため、必ず食塩相当量の数字を読んでください。
昆布を主原料とするだしの使い方
昆布はヨウ素を多く含む食品です。原材料名の先頭が昆布のだしを毎日濃く、大量に使い続けるのは避け、かつお・煮干し・野菜のだしなどと組み合わせるのが一般的な注意点です。
レシピ・使い方は各社公式サイトを見る
和光堂など大手メーカーの公式サイトには、自社のだし商品を使った離乳食レシピが掲載されている場合があります。別の商品に当てはめると食塩相当量や溶かす量がずれるため、使う商品の公式表示に合わせてください。
離乳食が完了したら:かつおと昆布のうまみだし
はぐくみユーグレナの「かつおと昆布のうまみだし」は、かつお節と昆布のうま味に、ユーグレナや乳酸菌など36種の栄養素を配合した粉末だしです。表示は「1杯(2.5g)あたり食塩相当量0.145g、カルシウム100mg、鉄1.7mg」で、水80mlに小さじ1杯溶かすほか、うどん・味噌汁・卵焼き・煮物にひとさじ加えて使えます。
対象は離乳食を完了したお子さま(1歳半ごろ〜が目安)で、離乳食期のお子さまには使いません。完了後に様子を見ながら量や濃さを調節してください。小麦・大豆・乳成分を含みます。食物繊維を使用しているため、便がゆるくなる場合があります。最新の価格は公式サイトでご確認ください。
商品の詳細を見るよくある質問
Q. 和光堂などベビーフードメーカーのだしは、大人用と何が違いますか?
A. 対象月齢の表示があることと、栄養成分表示が1袋・1回分あたりで書かれていることが多い点が主な違いです。原材料名やアレルギー表示の読み方は大人用と同じです。具体的な月齢や数値は、各社公式サイトの最新表示でご確認ください。
Q. 原材料名のどこを見れば、食塩の多さが分かりますか?
A. 原材料名は使った量の多い順に並ぶため、「食塩」の位置が目安になります。ただし、エキスパウダーのかっこ内や粉末しょうゆにも食塩が含まれるので、栄養成分表示の食塩相当量を必ずあわせて読んでください。
Q. 「だし」と「スープ」はどう見分けますか?
A. 裏面の「名称」欄で見分けます。「風味調味料」「だしの素」「削りぶし」などはだし、「乾燥スープ」「即席スープ」などは味が完成したスープです。スープは1食分の食塩相当量がだしより多くなりがちなので、名称を確認してから選んでください。
Q. 対象月齢の表示がないだしは、離乳食に使えませんか?
A. 対象月齢がないのは「乳児向けに設計されていない」という意味で、使えるかどうかは原材料名と食塩相当量で判断します。初期は調味料を含まないものにし、中期以降も1回量あたりの食塩相当量を換算して、ごく少量から様子を見てください。
本記事は一般的な情報です。お子さまの体調・発達・アレルギーに不安がある場合は、かかりつけの小児科や自治体の栄養相談にご相談ください。