
離乳食初期(生後5〜6か月頃)に食べないのは、とてもよくあることです。初期は「たくさん食べる」より「スプーンや母乳・ミルク以外の味に慣れる」時期なので、ひとさじでも口に入れば十分な一歩です。食べないときは、始めるタイミングのサイン、なめらかさ、スプーンの運び方、時間帯を順に見直し、うまくいかない日は無理をせず切り上げて構いません。
目次
離乳食初期は「慣れる」ための時期
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、離乳の開始は生後5〜6か月頃が目安とされ、初期(5〜6か月頃)は母乳やミルク以外の食べ物に少しずつ慣れていく時期と位置づけられています。この時期の栄養の中心は、まだ母乳やミルクです。
そのため、初期に食べる量が少なくても、それだけで心配しすぎる必要はありません。大切なのは、スプーンを口に入れる、飲み込む、いろいろな味や舌ざわりを知る、といった経験を少しずつ重ねることです。進み方には個人差があり、すぐに口を開けて食べる子もいれば、慣れるまでに時間がかかる子もいます。
初期のゴールは「量」ではなく次のような経験です。
- スプーンが口に入ることに慣れる
- なめらかな食べ物を口の奥へ送り、飲み込む
- おかゆ、野菜、豆腐など、いくつかの味と舌ざわりを知る
初期に食べない主な理由
舌で押し出してしまう
赤ちゃんには、口に入ったものを舌で押し出す動きがもともとあり、離乳を始める頃にこの動きが少なくなっていきます。スプーンを入れるたびに押し出す場合は、まだ慣れていないか、始めるには少し早い可能性があります。
なめらかさや水分が合っていない
初期はなめらかにすりつぶした状態が基本です。少しでも粒が残っていたり、水分が少なくもったりしていると、口から出してしまうことがあります。
おなかの空き具合や眠気
授乳した直後でおなかがいっぱいのとき、眠いときは、口を開けにくくなります。反対に空腹が強すぎて泣いているときも、落ち着いて食べるのは難しいものです。
スプーンや温度に驚いている
初めてのスプーンの硬さや冷たさ、食べ物の温度に驚いて嫌がることもあります。数回試すうちに慣れることも少なくありません。
初期の進め方と食べないときの工夫
支援ガイドでは、初期はなめらかにすりつぶしたおかゆから始め、慣れてきたら野菜、さらに豆腐や白身魚などへと種類を広げていく流れが示されています。調味料は必要ありません。下の表は、段階ごとの進め方の目安と、食べないときに試したいことをまとめたものです。
| 段階の目安 | 進め方 | 食べないときの工夫 |
|---|---|---|
| 始めたばかり | なめらかなおかゆを、ひとさじから | 水分を多めにしてさらになめらかに。スプーンを下唇にのせて待つ |
| おかゆに慣れてきた | すりつぶした野菜を少しずつ加える | 甘みのある野菜から。おかゆに少し混ぜて味の変化をゆるやかに |
| 野菜にも慣れてきた | 豆腐や白身魚など、たんぱく質の食材も | 慣れたおかゆや野菜と合わせる。新しい食材は一度に一つずつ |
表の段階は目安で、何日目に何を食べる、という決まりではありません。前の段階の食材を嫌がるようなら、そこで足踏みしても問題ありません。新しい食材は、体調のよい日の、医療機関を受診しやすい時間帯に少量から試すと安心です。
食べないときの見直しポイント
1. 始めるサインが出ているか
支えると座れる、首がしっかりすわっている、大人が食べている様子に興味を示す、スプーンを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、といった様子は、離乳を始める目安とされています。サインがまだそろっていないようなら、少し時期を置いてから再開する選択肢もあります。
2. なめらかさと温度
裏ごしやすりつぶしを丁寧にし、ポタージュ状になるまで水分を加えます。温度は人肌くらいにすると口に入れやすくなります。
3. スプーンの運び方
小さく浅いスプーンを使い、下唇に軽くのせて、赤ちゃんが自分で口を閉じて取り込むのを待ちます。口の奥まで入れると、驚いて押し出しやすくなります。
4. 時間帯と授乳の順番
機嫌がよく、おなかが適度にすいている時間を選びます。授乳の直前に離乳食をあげ、そのあと母乳やミルクを飲みたいだけ飲ませる流れにすると、食べるきっかけをつくりやすくなります。毎日だいたい同じ時間にすると、生活の流れの中に食事の時間ができていきます。
5. だしや野菜スープでのばす
支援ガイドでは、素材の味を生かしながら、だしのうま味を活用することがすすめられています。初期は、おかゆや野菜のペーストを昆布だしや野菜を煮た汁でのばすと、水でのばすより香りが加わります。食塩やしょうゆを含む市販のだしは初期には使わず、昆布だしは毎日濃く使い続けないようにしてください。
野菜・にんじんを食べないとき
初期の野菜は、にんじん、かぼちゃ、さつまいもなど、甘みがあってなめらかにしやすいものから始めるのが一般的です。特定の野菜だけを嫌がるときは、次のような方法があります。
- おかゆに少し混ぜる:食べ慣れたおかゆに少量混ぜると、味の変化がゆるやかになります。
- のばす汁を変える:煮汁や昆布だし、野菜スープでのばすと風味が変わります。
- 日を空けてまた出す:一度嫌がった食材でも、何日か空けて出すと食べることがあります。
- ほかの野菜で代える:にんじんを食べなければ、かぼちゃなど別の野菜でも構いません。
食材ごとの工夫は「離乳食で食べない食材別の対処」でも詳しく紹介しています。
うまくいかないときは少しお休みしても
泣いて嫌がる日が続くときは、数日お休みして、気分を変えてから再開する方法もあります。初期は母乳やミルクが栄養の中心なので、少し間を空けても、また慣れていけば問題ないと考えられます。
再開するときは、いちばん食べやすかったおかゆから、ひとさじに戻して始めます。「前回より少し進んだ」ではなく「今日は口に入った」ことを一歩として捉えると、保護者の負担も軽くなります。
お休みする目安の例
- スプーンを見ただけで泣くようになった
- 体調を崩している、歯が生えかけてぐずりが強い
- 生活の変化(帰省・引っ越しなど)で落ち着かない
受診・相談の目安
初期に食べないこと自体は珍しくありませんが、次のような様子がある場合は、離乳食の工夫だけで様子を見ずに相談してください。
- 母乳やミルクの飲みが悪く、おしっこが明らかに少ない(早めに受診を)
- ぐったりしている、吐く・下痢が続く、発熱がある(早めに受診を)
- 食べた後に発疹、口のまわりの赤み、せき、嘔吐などが出る(受診し、医師に相談を)
- 体重が増えない、または減っている
- むせる、飲み込みにくそうな様子が続く
開始の時期や進め方そのものに迷う場合も、かかりつけの小児科や乳幼児健診、自治体の保健センターの栄養相談で聞くことができます。
よくある質問
Q. 初めての離乳食を全く食べません。始めるのが早かったのでしょうか?
A. 初回から食べないのはよくあることです。支えると座れる、食べ物に興味を示す、舌で押し出すことが少なくなる、といったサインを確認し、まだのようなら少し時期を置いて再開する方法もあります。迷うときは小児科や乳幼児健診で相談してください。
Q. 初期に食べる量が少なくても栄養は大丈夫ですか?
A. 初期は栄養の中心がまだ母乳やミルクで、食べることに慣れる時期とされています。母乳やミルクを飲めていて、体重が増えていれば、焦らずに進めて構いません。体重が増えない場合は小児科に相談してください。
Q. 離乳食の前と後、どちらに授乳すればよいですか?
A. 一般的には、離乳食を先にあげ、そのあと母乳やミルクを飲みたいだけ飲ませる流れがとられます。授乳の直後はおなかがいっぱいで食べにくいため、間隔を見て時間を決めるとよいでしょう。
Q. 味がないから食べないのでしょうか?調味料を使ってもよいですか?
A. 初期は調味料は必要ないとされています。味の変化をつけたいときは、昆布だしや野菜を煮た汁でのばして、うま味や香りを加える方法があります。食塩やしょうゆを含む市販のだしは初期には使わないでください。
本記事は一般的な情報です。お子さまの体調・発達・アレルギーに不安がある場合は、かかりつけの小児科や自治体の栄養相談にご相談ください。