
生後9か月頃は、離乳食が後期(9〜11か月頃)に入り、1日3回食への移行と、歯ぐきでつぶせる固さへの変化が重なる時期です。回数が増えると1回あたりの量が減ったように見えたり、3回目を食べなかったりするのはよくあることです。3回食は少量から段階的に進め、あわせて不足しやすいとされる鉄を含む食材を、食べやすい形で少しずつ取り入れていきましょう。
目次
9か月頃の離乳食はどんな時期?
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では、生後9〜11か月頃を離乳の後期としています。歯ぐきでつぶせる固さのものを食べ、食欲に応じて1日3回食に進めていく時期です。家族と一緒に食卓を囲み、食事のリズムをつくっていくことも大切にされています。
ただし、9か月になったら一斉に3回食にしなければいけない、ということではありません。離乳を始めた時期や中期の進み具合によって、移行のタイミングには個人差があります。2回食で食べる様子が安定していることが、次に進む目安になります。
9か月で食べない・量が減る主な原因
回数が増えて1回量が分散している
2回食から3回食にすると、1日の合計は増えていても、1回ごとの量は少なく見えることがあります。また、食事の間隔が短くなることで、おなかがすく前に次の食事の時間になっている場合もあります。
固さの変化に戸惑っている
舌でつぶせる固さから、歯ぐきでつぶせる固さへの変化は、口の動きとしては大きな一歩です。固さを進めたとたんに口から出すようになった場合は、ペースが少し早かった可能性があります。
手づかみしたい気持ちが強くなっている
この頃は、自分の手で食べ物をつかみたい気持ちが強くなります。スプーンで食べさせてもらうのを嫌がるのに、手で持てる物なら食べる、ということもよくあります。
授乳との兼ね合い
食事の時間と授乳の時間が近いと、おなかが満たされて食べにくくなります。3回食にするときは、授乳のタイミングも一緒に見直す必要があります。
3回食への移行の進め方
3回食への移行は、いきなり3回とも同じように食べることを目指すのではなく、段階を踏んで進めると負担が少なくなります。
| 段階 | 進め方 | ポイント |
|---|---|---|
| 準備 | 2回食の時間と量が安定しているか確認する | 食べムラが大きい時期は、無理に進めない |
| 3回目を足す | 3回目は少量・食べ慣れた献立から | おかゆと野菜など、シンプルな組み合わせで |
| 量を増やす | 3回目の量を少しずつ増やす | 3回目を食べない日は、量を戻して構わない |
| リズムをつくる | 朝・昼・夕のおおよその時間を決める | 起床・昼寝・就寝の時間とあわせて考える |
3回目を食べないときは
3回目を食べない場合は、時間帯を見直してみてください。夕方は眠くなりやすく、食べる意欲が下がりがちです。昼寝のあとの機嫌のよい時間に移す、前の食事との間隔を空ける、といった調整が考えられます。3回目は品数を増やさず、前日の残りのおかゆや冷凍しておいた野菜など、手間をかけない献立で十分です。
家族と一緒に食べる時間をつくる
3回食は、家族の食事時間に近づけていくきっかけにもなります。大人が食べる様子を見ることで、食べることに関心が向くこともあります。毎食でなくても、1日1回は一緒に食卓を囲む時間をつくれると理想的です。
歯ぐきでつぶせる固さに慣れるコツ
後期の固さは、指で軽くつぶせるくらいのやわらかさが目安とされています。固さを嫌がる場合は、次の方法を試してみてください。
- 一品だけ固さを進める:すべてを一度に変えず、慣れた形状の料理の中に、少し固めの一品を加えます。
- だしで煮てやわらかくする:野菜や肉、魚をだしで煮ると、やわらかくなり、うま味も加わります。煮汁ごと食べられる料理にすると、口の中でまとまりやすくなります。
- とろみでまとめる:片栗粉などでとろみをつけると、ばらばらになりにくく、飲み込みやすくなります。
- 手で持てる形にする:やわらかく煮た野菜をスティック状にする、おかゆを丸めておやきにするなど、手づかみで食べられる形にすると、自分で食べたい気持ちに応えられます。
支援ガイドでは、離乳食はだしのうま味を活用して薄味にすることがすすめられています。後期も味付けはごく薄くし、だしのうま味を中心にしてください。食塩やしょうゆを含む市販のだしを使う場合は、量を控えめにし、ほかの調味料と合わせて薄味になっているかを確認します。
鉄を意識した食材の取り入れ方
鉄は、乳児期後半から幼児期にかけて不足しやすい栄養素とされています。9か月頃からは、食べられる範囲で鉄を含む食材を少しずつ取り入れていくとよいでしょう。ただし、食べない時期に無理に量を増やす必要はありません。食べやすい形にして、慣れた料理に混ぜ込むのが続けやすい方法です。
| 食材の例 | 食べやすくする工夫 |
|---|---|
| 赤身の魚(まぐろ・かつおなど) | だしで煮てほぐし、おかゆや野菜に混ぜる |
| 赤身の肉・鶏レバー | ひき肉やすりつぶしたものを、とろみのある煮物に |
| 豆腐・納豆 | やわらかく、おかゆやスープに混ぜやすい |
| 卵(加熱したもの) | 卵黄から慣らし、様子を見て全卵へ。しっかり加熱する |
| 小松菜・ほうれん草などの青菜 | やわらかく煮て細かく刻み、おかゆやおやきに |
初めての食材は少量から、体調のよい日に、医療機関を受診しやすい時間帯に試してください。卵や魚など、アレルギーが心配な食材については、気になることがあれば事前に小児科で相談すると安心です。
全く食べない・泣く・完母のとき
全く食べない日が続くとき
3回食や固さの変化をきっかけに、ほとんど食べなくなることがあります。いったん2回食や、食べやすかった固さに戻し、食べる様子が戻ってから改めて進めて構いません。戻すことは後退ではなく、お子さまのペースに合わせた調整です。
食事中に泣くとき
泣く理由は、空腹が強すぎる、眠い、思うように手で触れない、食べさせられるテンポが合わない、などさまざまです。手で持てる物を用意する、時間をずらす、泣き出したら切り上げる、といった対応が考えられます。
完母の場合
母乳だけで育っているお子さまの場合も、進み方は個人差が大きく、完母かどうかだけで決まるものではありません。食事の直前に授乳しない、食事の後に母乳を飲ませるなど、タイミングを見直すことが基本です。鉄を含む食材を少しずつ取り入れることも意識しつつ、栄養面が心配な場合は小児科や保健センターに相談してください。
受診・相談の目安
- ぐったりしている、母乳・ミルクも含めて水分がとれない、おしっこが明らかに少ない(早めに受診を)
- 吐く・下痢が続く、発熱など体調不良を伴っている(早めに受診を)
- 食べた後に発疹、口のまわりの赤み、せき、嘔吐などが出る(受診し、医師に相談を)
- 体重が増えない、または減っている
- むせる、飲み込みにくそうな様子が続く
自治体によってはこの頃に乳幼児健診があり、離乳食の進め方を相談する機会になります。自治体の保健センターの栄養相談も利用できます。
よくある質問
Q. 9か月で3回食にしたら、食べる量が減りました。
A. 回数が増えて1回ごとの量が分散したり、食事の間隔が短くなっておなかがすいていなかったりすることがあります。3回目は少量から始め、間隔や時間帯を見直してみてください。体重が増えていれば焦る必要はありません。
Q. 9か月なのに2回食のままでも大丈夫ですか?
A. 3回食への移行時期には個人差があります。2回食で食べる様子が安定してから進めれば十分で、月齢だけで急ぐ必要はありません。迷うときは乳幼児健診や小児科で相談してください。
Q. 9か月で離乳食を全く食べません。
A. 固さや回数の変化がきっかけになっていることがあります。食べやすかった固さや回数にいったん戻して様子を見てください。体重が増えない、水分がとれない、ぐったりしているなどの様子があれば、早めに小児科に相談してください。
Q. 9か月で鉄を意識したほうがよいのはなぜですか?
A. 鉄は乳児期後半から幼児期にかけて不足しやすい栄養素とされているためです。赤身の魚や肉、豆腐、青菜などを、だしで煮る・混ぜ込むなど食べやすい形で少しずつ取り入れる方法があります。
本記事は一般的な情報です。お子さまの体調・発達・アレルギーに不安がある場合は、かかりつけの小児科や自治体の栄養相談にご相談ください。