
離乳食に粉末だしや顆粒だしを選ぶときは、パッケージの「無添加」という言葉だけで判断せず、「何が無添加なのか」と「実際に何が入っているか」を原材料表示で確認することが大切です。「無添加」は商品によって指す内容が違い、食塩や調味料が入っていないという意味とは限りません。この記事では、だしメーカーの立場から、原材料表示の読み方と、粉末・顆粒ならではの比べ方を解説します。
目次
粉末だしと顆粒だしの違い
粉末だしと顆粒だしは、どちらもお湯や料理に溶かして使う乾燥タイプのだしです。違いは主に形状と、それに伴う使い勝手です。
| 比べる点 | 粉末 | 顆粒 |
|---|---|---|
| 形状 | 細かいパウダー状 | 粉を小さな粒にまとめたもの |
| 溶け方 | 料理に直接混ぜやすいが、水分が少ないとだまになりやすい | お湯にさっと溶けやすく、粉が舞いにくい |
| 計量 | 少量ずつ調整しやすい | スプーンですくいやすい |
| 保存 | 湿気を吸うと固まりやすい | 粉末よりは固まりにくいが、湿気には注意 |
顆粒は粉を粒にまとめる工程で、デキストリンなどの原料が使われることがあります。どちらが離乳食に向いているかは形状では決まらず、中身(原材料と食塩相当量)で判断します。
「無添加」は何が無添加なのか
パッケージに書かれる「無添加」には、決まった一つの意味があるわけではありません。何を使っていないのかは、商品ごとに確認する必要があります。消費者庁も「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を定め、消費者が誤解しないような表示を求めています。
| 表示の例 | 主に指している内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 化学調味料無添加 | うま味調味料(アミノ酸等)などを使っていない | 酵母エキスなど、うま味を補う食品原料が入っていないか |
| 保存料・着色料不使用 | その添加物を使っていない | ほかの添加物や食塩・調味料が入っていないか |
| 食塩を加えていない旨の表示 | 製造時に食塩を加えていない | しょうゆやエキスなど、食塩を含む原料が使われていないか |
| 「無添加」のみ | 商品によって異なる | パッケージの説明文で、何を使っていないかを確認 |
「無添加=食塩ゼロ」「無添加=離乳食に使える」ではありません。食塩の量は栄養成分表示の「食塩相当量」で、中身は原材料表示で確認してください。
原材料表示を読む3つのステップ
ステップ1:「/」の前と後を分けて見る
現在の食品表示では、原材料と添加物を区分して表示することになっています。多くの商品では「/(スラッシュ)」で区切られ、その前が原材料、後ろが添加物です(改行や別欄で区分している商品もあります)。まずこの区切りを見つけると、表示がぐっと読みやすくなります。
ステップ2:先頭に何があるかを見る
原材料・添加物はそれぞれ、使われている量の多い順に並んでいます。「かつお節」「昆布」などの素材が先頭なのか、「食塩」「デキストリン」「エキス」などが先頭なのかで、その商品の性格がおおよそ分かります。
ステップ3:かっこの中と、食塩を含む原料を見る
「○○エキスパウダー(○○、食塩……)」のように、かっこの中にはその原料をつくるのに使われたものが書かれています。食塩は単独の「食塩」としてだけでなく、しょうゆ・エキス類・かっこの中にも含まれていることがあるので、原材料全体を見たうえで、最後に栄養成分表示の食塩相当量で確かめます。アレルギーの原因となる原材料(小麦・大豆・乳成分など)も、このとき一緒に確認します。
よく見る原材料の意味
粉末・顆粒だしの原材料表示でよく見かける言葉を、だしメーカーの立場から簡単に説明します。
| 表示 | どんなものか | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| デキストリン | でんぷんからつくられる糖質。粉末の形を保ったり、溶けやすくしたりする | 食品原料として扱われる。先頭にあれば、素材の割合は相対的に少なめ |
| 酵母エキス | 酵母からとったうま味のある素材 | 食品原料として扱われ、添加物の欄には書かれない |
| たん白加水分解物 | 大豆や小麦などのたんぱく質を分解した、うま味のある素材 | 食品原料。由来によってアレルギー表示を確認 |
| 調味料(アミノ酸等) | うま味調味料など、添加物の調味料 | 「化学調味料無添加」の商品には通常入っていない |
| 粉末しょうゆ | しょうゆを乾燥させて粉末にしたもの | 食塩を含む。小麦・大豆を含むことが多い |
これらの原料は、それ自体が良い・悪いというものではありません。大切なのは、お子さまの時期に合っているか、食塩やアレルギーの面で確認できているかという点です。
当社のだしの表示を例に読んでみる
当社の「かつおと昆布のうまみだし」の原材料表示を、上のステップで読んでみます。
デキストリン、鰹エキスパウダー(鰹節エキス、デキストリン、でんぷん、鰹節、食塩)、酵母エキス、ユーグレナ、食塩、粉末しょうゆ(小麦・大豆を含む)、乳酸菌末(殺菌)、昆布パウダー、DHA含有精製魚油(乳成分を含む)、乳酸菌混合末、スダチ果皮エキス末/貝カルシウム、ビタミン類等
- 「/」の前後:前が原材料、後ろの「貝カルシウム、ビタミン類等」は、カルシウムやビタミンを補うための栄養素の原料です。化学調味料・保存料・着色料・香料は使っていません。
- 先頭:デキストリンが最も多く、次にかつおのエキスパウダーが続きます。デキストリンは粉末だしで広く使われる原料で、粉末の形を保つ役割があります。
- 食塩を含む原料:「鰹エキスパウダー」のかっこの中、単独の「食塩」、「粉末しょうゆ」の3か所です。そのため、食塩相当量は1杯(2.5g)あたり0.145gあります。
- アレルギー:小麦・大豆・乳成分を含みます。
このように、当社のうまみだしは化学調味料・保存料・着色料・香料を使わない無添加のだしです。「/」の後ろに並ぶのは、カルシウムやビタミンなどの栄養素を補うための原料です。一方で、食塩はかつおのエキスやしょうゆなどに含まれているため、食塩相当量は1杯(2.5g)あたり0.145gです。「無添加」と書かれた商品でも、何を使っていないのかと食塩の量は、どの商品でも表示をこの順で読めば確かめられます。
粉末・顆粒の食塩相当量を比べるときの注意
粉末・顆粒の食塩相当量を比べるときは、表示の基準量(100gあたり、1杯あたり、小さじ1杯あたりなど)をそろえることが基本です。換算の計算式と具体例は「離乳食のだし市販のおすすめ」で詳しく紹介しています。
粉末・顆粒ならではの注意点は、「小さじ1杯」の重さが商品によって違うことです。粉の細かさや粒の大きさで、同じ小さじ1杯でも重さが変わります。表示が「小さじ1杯あたり」の場合は、その小さじ1杯が何gかも確認し、できればg単位でそろえて比べてください。当社のうまみだしは、小さじ1杯が約2.5gで、この量あたりの食塩相当量が0.145gです。
1歳以降は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の食塩相当量の目標量(1〜2歳で1日3.0g未満、3〜5歳で1日3.5g未満)と並べて、1日の合計の中でだしの分を考えると判断しやすくなります。
離乳食で粉末・顆粒だしを使うときの目安
- 初期・中期:調味料を含まない素材だけのものに限ると安心です。昆布やかつおを粉にした素材粉末は、だし汁と違って素材そのものを食べることになるため、だし汁で慣れてから少量で使います。
- 後期以降:食塩を含む粉末・顆粒を使う場合は、表示量よりかなり少なめから。ほかの調味料と合わせて薄味になっているかを見ます。
- 完了期以降:取り分けや幼児食で使う機会が増えます。1日の食塩相当量の目安の中で、だしの分を考えます。
- 保存:開封後は口をしっかり閉じ、高温多湿と直射日光を避けます。濡れたスプーンを入れないようにします。
だしの種類ごとの開始時期は「離乳食のだしはいつから?」、ベビー用として売られているだしとの違いは「ベビーだし(赤ちゃん用だし)とは?」で解説しています。
離乳食が完了したら:かつおと昆布のうまみだし
はぐくみユーグレナの「かつおと昆布のうまみだし」は、かつおと昆布のうま味に、ユーグレナをはじめ36種の栄養素を配合した粉末だしです。1杯(2.5g)あたりカルシウム100mg、鉄1.7mg、食塩相当量0.145g。水80mlに小さじ1杯溶かすほか、うどん・おにぎり・味噌汁・卵焼きなどに直接ひとさじ加えて使えます。
対象は離乳食を完了したお子さま(1歳半ごろ〜が目安)です。離乳食期には使わず、完了後に様子を見ながら量や濃さを調節してください。小麦・大豆・乳成分を含みます。食物繊維を使用しているため、便がゆるくなる場合があります。最新の価格は公式サイトでご確認ください。
商品の詳細を見るよくある質問
Q. 「無添加」の粉末だしなら離乳食に使っても安心ですか?
A. 「無添加」が何を指すかは商品ごとに異なり、食塩や調味料が入っていないという意味とは限りません。原材料表示で中身を、栄養成分表示の食塩相当量で食塩の量を確認し、お子さまの時期に合うかを判断してください。
Q. 粉末だしと顆粒だし、離乳食にはどちらが向いていますか?
A. 形状による向き不向きはほとんどなく、原材料と食塩相当量で選ぶのが基本です。粉末は料理に直接混ぜやすく、顆粒はお湯に溶けやすいなど使い勝手が違うので、作る料理に合わせて選んでください。
Q. 原材料表示の「/」は何を意味しますか?
A. 多くの商品では、「/」の前が原材料、後ろが添加物を表しています。改行や別欄で区分している商品もあります。それぞれ使われている量の多い順に並んでいます。
Q. 酵母エキスは添加物ですか?
A. 酵母エキスは食品原料として扱われ、添加物の欄には書かれません。そのため「化学調味料無添加」と表示された商品にも使われていることがあります。気になる場合は原材料表示で確認してください。
本記事は一般的な情報です。お子さまの体調・発達・アレルギーに不安がある場合は、かかりつけの小児科や自治体の栄養相談にご相談ください。